西日本新聞 文化面連載 — 2014年

バスキンドの
日本文化偏愛記

好事家の告白 — 全八回

ジェイムズ・バスキンド
James Baskind, Ph.D.(イェール大学)
2014年2月18日 〜 3月5日

二十年近く日本に住み、日本の大学で日本の学生に日本の知的伝統を教えてきたアメリカ人学者が、日本文化への「偏愛」を告白する。

鴨長明の儚さから松尾芭蕉の十七音節まで、岡倉天心の茶から鈴木大拙の禅まで、小泉八雲のホームグラウンドから不干斎ハビアンの文明の狭間まで。八つの「偏愛」が、一人の好事家の目を通して語られる。

本連載は西日本新聞の文化面に2014年2月から3月にかけて全八回掲載されました。

全八回 — The Eight Installments
第一回

鴨長明「方丈記」

儚さに宿る美に惹かれ 2014年2月18日(火)

無常の文学の極致。方丈(約3メートル四方)の庵から、世界の儚さと美を見つめた鴨長明。その視線の中に、日本文化への入口があった。

第一回:鴨長明「方丈記」
第二回

松尾芭蕉「奥の細道」

17音節のスナップ写真 2014年2月19日(水)

俳句という形式は、十七音節のスナップ写真。芭蕉の旅に寄り添いながら、日本語が凝縮する美の原理を探る。

第二回:松尾芭蕉「奥の細道」
第三回

岡倉天心「茶の本」

東西の美学、理想へ導く 2014年2月20日(木)

岡倉天心が英語で書いた「茶の本」は、日本文化を西洋に伝えた古典。茶道の中に東西の美学が交差する場所を見出す。

第三回:岡倉天心「茶の本」
第四回

鈴木大拙「禅と日本文化」

心から心へ伝える本質 2014年2月24日(月)

禅の本質は言葉を超えた伝達。鈴木大拙が英語圏に禅を伝えたように、心から心へ渡るものの正体を追う。

第四回:鈴木大拙「禅と日本文化」
第五回

ロバート・キャンベル先生

完全なる「日本人学者」 2014年2月27日(木)

日本文学を日本人以上に深く読むアメリカ人学者ロバート・キャンベル。異文化の中で「完全なる日本人学者」となることの意味を考える。

第五回:ロバート・キャンベル先生
第六回

小泉八雲「知られざる日本の面影」

ホームグラウンドを求め 2014年3月

ラフカディオ・ハーン。ギリシャ生まれ、アイルランド育ち、アメリカ経由で日本へ。居場所を求め続けた男が、ついに見つけたホームグラウンド。バスキンド自身の旅と重なる物語。

第六回:小泉八雲「知られざる日本の面影」
第七回

「臨済録」

日常に根付く黄檗文化 2014年3月4日(火)

臨済義玄の激烈な禅。九州に花開いた黄檗文化。寺院建築から煎茶、普茶料理まで、日本の日常に溶け込んだ黄檗の遺産を辿る。バスキンドの博士論文の核心に触れる回。

第七回:「臨済録」
第八回(最終回)

不干斎ハビアン「妙貞問答」

文明の狭間から届く教訓 2014年3月5日(水)

16世紀、キリスト教に改宗した禅僧ハビアン。信仰と知性、東と西、帰依と棄教の間で揺れた知識人。バスキンド自身の研究対象であり、連載の最終回にふさわしい「文明の狭間」の物語。

第八回:不干斎ハビアン「妙貞問答」
著者について

ジェイムズ・バスキンド(James Baskind, Ph.D.)

イェール大学博士(宗教学・東アジア専攻)。日本に約二十年在住し、国際日本文化研究センター(日文研)、九州工業大学、名古屋市立大学で研究・教育に従事。専門は日本仏教思想史(禅・黄檗宗)。現在はアリゾナ州にてAutomata Vista LLCを経営し、意識とテクノロジーの交差点でAI製品を開発している。